一昨日の金英男(キムヨンナム)と母親、姉との28年ぶりの再会で、私は思った。
もしも、私が金英男ならどうしただろうかと。
厳重に、北朝鮮から監視され、少しでも変なことをしたら、あるいは、言ったらどんな目に遭うかも解らないという状況下で、どのように語れば本当のことが伝わるだろうかと考えるであろう。
一番言いたいのは、自分の言っていることが嘘ですよというメッセージを伝えるだろう。
私は、無理やり嘘を言わされている、ということしか伝えられないだろうと思う。その中で、何が嘘かをどう知らすか?
やはり、自分の母親、あるいは、兄弟姉妹しか知らないことを言うのが一番。
そのことは誰にも解らないことだから。
すなわち、再開のニュースの中で、自分のこと、しかも、兄弟にしか解らないことを語ったのは、一箇所のみ。拉致される際に、貸したテープレコーダーを取り返してこいという場面。
私は、一瞬、この話に何かの意味がこめられていると察知した。
なんだろう?
どんな意味があるのだろうか?
ところが、翌日のニュースでは、義理の姉がそのテープレコーダーを持ち出してきた。
「このテープレコーダは、英男にプレゼントをする予定だったが、結局は英男には渡さなかった、と。」
私は、このニュースを見てビックリした。
何と軽率な報道かと。英男が、自分の自分の記者会見での内容は、全て嘘だということを、このテープレコーダの作り話で伝えようとしていたのに。
私は、このことで、英男に影響が出なければいいがと思う。
もう一つの嘘は、横田めぐみさんは3歳のとき交通事故に遭ったと言っていたことを発表した。
これも横田さんに送ったメッセージ。
ところが、これもアッサリと横田夫妻は否定した。
私は思う。英男の苦渋の戦略を誰も気づかず、単に嘘という報道にしてしまっている。
平和ボケの報道と私は感じた。
生きるか死ぬかの境遇にいる人間が、28年ぶりに会った母親、姉に笑顔で接していること辞退が不自然である。
北朝鮮はいいところで、私はこんなに恵まれて育った。
大学にも行かせてもらった。
めぐみは、自殺してもういない、ということも、私の全ての会見は嘘ですよということをアピールすることで、めぐみさんは新ではいないということをメッセージとして流したのであろう。
母親をバスに抱えて乗り込み、外から手を振り別れを告げたとき、彼は本当の自分の感情が出た。
抑えきれない感情である。
最初に会ったときの笑顔は嘘ですよということも、ここでハッキリした。
横田夫妻さん、あなたの娘さんのめぐみさんは、きっと生きていますよ。
それまで頑張ってください